AIスピーカの現状と市場動向
10月6日Google Homeが日本でも発売開始され、Line Waveが10月5日から発売されたが、欧米、特に米国を中心にAIスピーカは爆発的ともいえるほど急成長中である。中国で実際に出荷されているAIスピーカはまだほとんどないが、今年末には数十社に急増するようである。またAmazon Echoシリーズも12月発売予定なので、年末にかけて急速に盛り上がりそうである。日本のAIスピーカ・AIアシスタントについてはページを改めて書く予定である。
世界市場(特に米国)では何が進行中で、どのように展開されるのかを調べてみた。世界と言ってもAIスピーカは米国が中心であり、Amazon Echoシリーズがほぼ市場を支配している。従ってこのページでは米国におけるEchoシリーズの現状と動向を中心に述べることになる。Echoシリーズ以外は次ページで述べる。
現在世界市場(米国中心)を主導しているのは2014年10月発売のAmazon Echoシリーズ/Alexaである。市場の現状はこの動きを見ることで、市場の状況のおおよそが把握できそうである。まずはこれを切り口とした。
Amazon Echoに代表されるAIスピーカは単体で動作するものではない。AIスピーカに音声で指示すると、その音声データはWiFi・インターネット回線を通して、音声アシスタント(クラウドAI音声プラットフォーム)に送信される。AIアシスタントは送られてきた音声を認識し(単語認識)、自然言語処理(文章解析など)、文章に意味を解釈して要求を確認、情報検索などの各種処理、結果を音声に変換して出力(AIスピーカ送信)、AIスピーカが音声でユーザに伝える。
AIスピーカ端末を単体で見れば、スピーカーとマイクおよびWiFi接続の機能しか持たない。音声サービスはスマホなどでは目新しいものではないが、AIスピーカーが注目を集めているのは、家庭内据え置きで、音声で周囲の人たちに気兼ねなく音楽を聞いたり、インターネットであれこれアクセスしたり、(スマートホーム(家庭内の電子機器や器具をコントロール)ができることにある。即ち人にとって最も自然な音声でコンピュータ(クラウド)とやり取りできるからである。
AIスピーカ端末を単体で見れば、スピーカーとマイクおよびWiFi接続の機能しか持たない。音声サービスはスマホなどでは目新しいものではないが、AIスピーカーが注目を集めているのは、家庭内据え置きで、音声で周囲の人たちに気兼ねなく音楽を聞いたり、インターネットであれこれアクセスしたり、(スマートホーム(家庭内の電子機器や器具をコントロール)ができることにある。即ち人にとって最も自然な音声でコンピュータ(クラウド)とやり取りできるからである。
音声でコンシューマAIサービス、即ち音楽を楽しみ、インターネットをアクセスでき、スマートホームなどなどの新しい経験をもたらしてくれる。だれでもが(小さい子供、年寄り、目の不自由な方などなどが)AI技術によりコンピュータをトレーニングなしでも難なく使いこなせる。しかも使えば使うほどユーザの活動や好みを学習し、あたかも秘書のように対応してくれるようになる。また間もなく友達同士の雑談もどきの対話も可能になるようである。秘書的要素はスタートしたばかり、友達もどきはこれからだが、AI技術の進歩と音声データの蓄積で急速に充実したものになる事が期待できる。前頁で述べた「例のあれ」の実現である。
米国調査会社Gartnerが昨年10月AIスピーカ調査結果によると、米国AIスピーカ市場は2015年360百万ドルが2020年までに$2,100百万ドル(≒2300億円)、また同年までに75%の家庭にAIスピーカ(GartnerはVPA: Virtual Personal Assistantと表現)が入り、その20%は2台、5%は3台以上保有としているので、爆発的浸透度である。
Amazon Echoシリーズ
周知のようにAIスピーカは2014年10月発売のAmazon Echoが最初の製品である。2年遅れて2016年11月にGoogle Homeが発売された。
Echoシリーズは現在米国だけでなく、英国とドイツでも発売されている。またインドに投入するというIndia Timesの観測記事がある。これによるとを英語と独語の国々に続いて、インドで英語版を投入し、順次インドのローカル言語(Marathi[マラーティー語]、Tamil[タミル語]、Hindi[ヒンディ語]などなど)に対応すると言っている。人口が多いだけでなく、インドの識字率は70%、残りの30%の文字読み書きができない。このコンピュータ無縁の30%の人たちも、AIスピーカならば容易にコンピュータに接することが出来きる。AIスピーカはスマホよりも安価で、通信費がインタネット接続費用だけなので、これらの低所得であろう人たち二も手が届く。最も原始的な音声をマンマシンインターフェイスとするメリットである。
米国調査会社CIRP(Consumer Intelligence
Research Partners)のAmazon Echoシリーズ調査によれば、2017年3月時のAmazon Echoシリーズ累積出荷台数10.7百万台、この時点で発売されていた、3機種の各モデルの納入ベースは以下のようになっている。
Amazon Dot
52% 2016年3月発売 $50- スピーカー外付け
Amazon Echo 36% 2014年11月発売 $170- ベースモデル
Amazon Tap 10% 2016年3月発売 $130- バッテリー駆動可
今年4月に2機種追加。
2017/6月発売 $229.99- カメラ/ディスプレイ搭載、ビデオチャット他
さらに9月末、Google Homeだけでなく、次々と発売が予定されている競合を迎え撃つために新シリーズを発表した。
:初代Echoの改良・強化・低価格版、マルチオーディオ機能(複数部屋のEchoに音楽同時配信)、10月発売予定
:直接スマートホーム端末(最大100台)を制御可能 10月出荷予定
:カメラ・2.5インチ円形ディスプレィ付、目覚まし時計をイメージ 12月出荷予定
AIスピーカ市場
AIスピーカーの出荷状況は今年5月ごろに、Amazonだけで1千万台を超えたとされ、米国調査会社Voicelabs社によれば今年(2017年)24.5百万台出荷され、今年末に累計33百万台が市場で動作するであろうと予測している。
2015年1.7百万台
2016年 6.5百万台
予測 2017年 24.5百万台 累計33百万台
Amazon Echoシリーズ 70.6%
Google Home 23.6%
その他 5.6% : Apple、Harman/Cordon、Lenovo他
また同予測によればAmazonの2018年以降の米国マーケットシェアは少し低下するが、当面その地位は揺るがないそうである。
AmazonはクラウドサービスをAWS(Amazon Web Service)で先行し、GoogleやMicrosoftのクラウドサービスの激しい追撃にもかかわらず市場シェアトップで、約31%のシェアを維持しいている。AIスピーカーでも同じようなシナリオを予測されるのであろう。
なおAmazon EchoはStrategy
Analistics社によれば、2016年WiFiスピーカー市場でも1/3以上を確保し、トップである。2位以下はSonos、Bose、Harman、Denon、Sonyなどの既存オーディオメーカ大手だが、短期間これらで抜き去っている。全く新しい市場を開拓するだけでなく、すでに既存市場にも大きな影響を与えている。
Amazon Echoシリーズ用途、スマートホームほか
Amazon Echoシリーズの主な用途は音楽、スマートホーム(家電制御、省エネ、防犯など)、インターネットインクワイヤリ(問合せ)と言われている。家庭内メッシュ型無線LAN ZwaveがEchoシリーズ/Alexaに対応していることが強みとなり、他社がこのスマートホーム市場参入の障壁となっている。Zwave製品はAmazonで販売しており、その驚くほど多くの種類(2000以上)がある。Zwaveは国内知名度、普及度は低いが、世界で唯一成功している家庭用LANで、欧米だけでなく中国にも参入し急成長している。文末に概要を記載した。Zwaveは2016年末で累積出荷が1億端末を越え、一般家庭の省エネやセキュリティの多用されている。市場にはZwaveに次ぐ製品は見当たらず、スマートホーム市場は当分Amazonが独走と推測する。
またEchoシリーズはAmazon本業のウェブショッピングでも圧倒的優位にあることはいうまでもない。
少々古く昨年9月の記事だが米国マーケティング会社NDP
Group(日本法人もある)によるとAmazon Echoを使うようになった人は、Amazon接続時間が約10%増え、実際の買い物も6%多くなったとしている。Echo販売増はAmazonの継続的ウェブ販売増に直結する数字で、AmazonはEcho Look発売などで、さらに開発・販売を加速させるであろう。ウェブ販売によりコンシューマ市場に深く根付いているAmazonはその力をうまく活用している。
Skill(アドオンソフト、アプリ)がAIスピーカの存在を高める
Amazon Echoシリーズの活用を広げる、Alexaのアドオン・アプリSkill(GoogleはActionと呼ぶがSkillの方が一般的なのでこれを使用する)が多数用意されている。SkillはAIアシスタント(EchoシリーズではAlexa)、即ちクラウドで動作しているのでAIスピーカーの機能・性能とは関係ない。しかしコンピュータ、ソフトなければただの箱、同様SkillがないとAIスピーカは音楽鑑賞やニュース、天気予報くらいしか役に立たず、その充実度がAIスピーカの利便性を左右する。
Alexa Skillは第3者が開発可能なAmazon Skill Kitにより 、Skill(アドオンやアプリ)を誰でも開発可能である。Echoシリーズ向用様々な分野のSkillはAmazonショップからダウンロードすることが可能である。
用途別Skill数の多いトップ5は順にニュース、ゲーム、教育/参考文献・引用文、ライフスタイル、ノベルティ/ユーモア(ジョーク)だそうである。AIスピーカのどの用途に関心が深いかの指標になろう。
Alexa Skillは9月4日で2万を超え(7月1.5万、2月1万)、Google HomeのSkillを圧倒している。数多くのパートナーを確保し、エコシステムを形成している。EchoシリーズはGoogle Homeよりも2年先行した結果であろう。Google Homeだけでなく、今後発売されるAIスピーカはEchoシリーズやそのクローンに追いつくのは容易ではなさそうである。
Appleが年末発売するHome Padはマニアックといわれるユーザ群向けに、音楽を強調したAIスピーカといわれているが、どれだけSkillを揃えられるかがキーになろう。Home Podの価格は349ドルとAIスピーカとしては格段に高価で、高性能CPU(Apple A8)、メモリ128GBと他社製品に比べると強力なハードである。このハードを生かした音楽以外の用途に、なにかAppleらしい新しい趣向を期待したい。
Alexa Skill のSkill開発環境Alexa Skill KitはAmazonで紹介されている。現在は英文だけだが日本語化を進めているとしている。日本語で早めに知りたい人は“せーの”氏、佐々木大輔氏、Shinpei Kawahito氏のブログに詳細が日本語で紹介されている。
ソフト技術に疎い筆者でも、この3名のブログを精読すればAlexa Skillを開発できるかもしれない(筆者にはその根性も能力もないが)。
ページを改めてGoogle HomeをはじめEchoシリーズ以外のAIスピーカを述べたい。
参考資料 Z-Wave
ZwaveはZwave Allianceが規格管理、プロモーション、製品開発している。家庭用LAN(HEMS)の唯一の成功規格で、サブG帯(国内では920MHz)を使用している。同アライアンスはZwave通信ICメーカSigma Designs社を中心に設立され、加盟600社強、認定製品は2100を超えている。
ZwaveはデンマークZen-sys社が開発し、2009年米国Sigma Design社が買収したた。Sigma Design社は画像伸長IC(MPEG)技術に優れ、1982年創業以来この技術を中心に、セットトップボックスやHD・4Kテレビ用ICでは定評があるICメーカである。創業者CEO Tan氏はベトナム系の方のためか、シリコンバレー企業としては珍しく映像用IC一筋であったことと、有力な顧客を持っていたことが、Zwaveの成功の大きな要因の一つと言えよう。
Zwave製品のほとんどはセット製品で、家庭内の適当な場所に設置するだけで動作するようになっている。様々な製品があり、欧米ではAmazonやホームセンターで購入できる。省エネやセキュリティが中心に、AmazonショッピングにZwave製品は沢山の種類がある。
主な市場の欧米で急成長し2016年にSigma Designs社は5千万個のZwave通信ICを出荷したそうで、Zwave製品の販売累計は約1.1億個に達しという。ただし国内での認知、普及はこれからである。
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