(3)AIスピーカ (Echoシリーズ以外)急成長する市場、動向(その2)

前頁でも述べたようにAIスピーカはAIアシスタントに依存した製品、言い換えるとAIアシスタント(クラウドAI音声プラットフォーム)があって初めて成立する。
Google Homeが
現在AIアシスタントをサービスしているのはAmazon Alexa、Google Assistant、Microsoft Cortanaで、日本でも10月5日Naver社Clova(Line AIスピーカWave用)と10月6日Google Assistantだけが日本でのサービスをスタートしている。当然GoogleとLineのAIスピーカも発売され、欧米で間もなく発売をアナウンスしているソニーも、日本でも同時発売になろう。
である。また中国メーカTencent、Baidu、Alibabaの3社も年内にはAIアシスタントサービスとAIスピーカ出荷を開始すると報道されている。中国市場のAIスピーカ・AIアシスタントはページを改めて紹介するので、本ページではAmazon Echoシリーズ以外の米国AIスピーカ・AIアシスタントについて述べる。
なおAIスピーカには使えないが、同じようなサービスで、業務用の様々な用途で使用されているIBM Watsonがある。


AIスピーカのアプリ、Skillは誰でもパソコン上で開発が可能である。各社のAIアシスタントはそれぞれのSkill開発環境を用意している。
Action on Google (ActionはSillと同じ意味)
なおCortanaのSkillはAlexaでも開発可能である。さらに8月末MicrosoftとAmazonは音声認識事業(CortanaとAlexa)で提携し、年内にCortanaとAlexaの相互利用を可能にするとアナウンスしている。 
又Amazon Alexaに接続する端末ハードウェア開発もAmazonはAlexa Voice Service(AVS)を使えば簡単のようである。AVSによりAIスピーカだけでなく、AIスピーカ機能を様々な機器や装置、家電製品、カーナビ、音声ガイドなどに組み込むことが、容易になる。他社もこれに追随するであろう。

以下はAmazon以外の各メーカの主なAIスピーカを紹介するが、AIアシスタントは上記3社のいずれかを使用している。例外はEssentialで、後述つのように3社のいずれでも接続可能である。また今年末からAlexaを使用するAIスピーカはCortanaも接続できるようになる。間もなく発売のEssential HomeはCortana接続だが、Alexaにも接続が可能である。

Google Home
Google Homeは2016年10月にアナウンスされ、Echoシリーズを超えるスペックの良さに大きな期待があったが、同年11月発売後の評価はあまり芳しくはなかった。その後短期間でGoogle Homeの改良を重ねており、Googleの検索技術や音声認識技術などさまざまなソフト技術などソフト力をフルに活用している。しかし発売2年遅れは大きなハンデで、AlexaのSkill数(GoogleはActionと呼ぶ)に大きな差をつけられ、スマートホームほか多くの分野で後れを取っているのが実情のようである。
間もなくさまざまなメーカのAIスピーカーが発売予定(一部出荷済みもある)だが、Google Homeよりもさらに1年くらい遅れである。音楽ファン向けの強力なスピーカや低価格製品など多様性が増すので、選択の幅が広がるユーザにとっては楽しみが増えることになる。

Google Homeの サポート言語(参入国)に関して、今年5月のGoogle I/O 2017でアナウンスであったように、英語以外の言語サポート、フランス語、ドイツ語、ブラジルポルトガル語を順次サポートを開始している。上記のように日本も10月6日発売が開始された。またイタリア語、スペイン語、韓国語の言及はあった。しかし最大の市場である中国語は入っていなかったようである。
なおAmazon Echoシリーズのサポート言語は、前ページに書いたように、現在英語とドイツ語だけで、出荷国も限られている。しかしAmazonによればEchoシリーズは50言語に対応でき、Skillとして開発できると言っている。自力ですべての言語に対応するのではなく、各国の各言語のエキスパートと提携して、英・独語以外の言語をサポートしようとしているのであろう。日本出荷は12月なので、AIスピーカだけでSkill開発環境も日本語化される。
言語面・参入市場(国)でGoogle Homeは優位にたっており、その優位をどれだけビジネスに結び付けられるかによって、Google Homeの先行きが決まりそうである。

販売中または出荷予定のAmazon、Google以外のAIスピーカー
 
Amazon Alexa使用
9月にソニー、パナソニック、東芝の3社が、次々とAlexa使用のAIスピーカ参入をアナウンスしている。Google Assistant使用オンキョーと共に日本市場のページで紹介したい。

Anker Eufy Genie
Ankerは元Googleの若者が2009年設立の会社で、交換用モバイルバッテリーやケーブルが主力製品で、日本法人もあり国内でも、かなりなじみのある会社である。先端分野ではなく成熟分野でのハードベンチャー企業が成功できることを示した面白い会社である。
このAnkerが今月8月に従来製品と全く畑違いのAIスピーカーEufy Genieをアナウンス、発売を開始した。最大の特徴はスピーカー搭載(外部スピーカ用AUX端子付)で$34.99-と最安であることにある。Amazon Echo Dotと比べるとスピーカーがついており、15ドル安く、ほぼ同じことができるAIスピーカーである。元Google従業員でありながら、Google AssistantではなくAlexaを選んだことは、Alexaの優位を示しているといえそうである。また国内販売も予定されているようで、Google Assistantが日本語をサポートできるようになれば(今年12月の予定)、同時に日本発売が期待できる。
なおウェブ販売Amazonの購入者ユーザ評価(10/2現在)は★5個57%、★4個27%と満足度も高い。コメント数は219に達し、関心の高さを示している。

Apple Home Pod 2017年末発売予定 $349-
AppleのAIスピーカーHome Podは音楽用途を強調し、Amazon EchoシリーズやGoogle Homeに比べると、スピーカーが強力になっている。また目的は不明だが、AIスピーカーとしては強力なCPU(A6)と大きなメモリー(128MB)内蔵であいる。この分野の最後発を意識し、Amazon、Googleとは一味違ったAIスピーカーが期待できそうである。
Apple、音楽、Podと揃うと、2001年に発売されApple業績不調を救ったiPodが連想される。iPodは今日に至るまで、Appleファンの支持を受けている。Home PodはこのiPodの音声機能付き家庭据え置き版と位置付けられるのであろう。スマホ並みの強力なCPUやメモリーは、現在のAIスピーカーの範疇を超えた機能、新しいユーザエクスペリエンスを期待したい。
熱烈なAppleファンを家庭でもそのまま抱え込むことで、市場をある程度確保できるであろうが、AmazonやGoogleに対抗するには音の良さとiTuneだけでは力不足は否めない。
 国内発売は来年以降とされている。
  
Harman Invoke 今秋発売予定 Microsoft Cortana採用
InvokeはAIアシスタントにMicrosoft Cortanaを採用した初めてのAIスピーカになる。なおMicrosoftはAIスピーカの販売予定はなく、下記のようにAIスピーカ機能をWindowsパソコンに内蔵する方向とみられている。
HarmanはSamsung 100%子会社(今年3月$80億で買収)でオーディオ、特に車載用を含めスピーカーの高音質は定評である。

またMicrosoftが提供する電話サービスSkypeもInvoke機能として強調している。
高音質AIスピーカ分野で、InvokeはMicrosoftの代理としてApple Home Podと争うことになろう。MicrosoftミュージックとApple iTuneの音楽サービスの争いでもある。また強力なファンを持つAppleに対し、Harmanはオーディオマニアに高い評価を得ている。Appleとの興味ある争いになりそうだ。
Invoke Skill開発にはCortana Skill Kitを使うことになる。また上記のように年末からはAlexa機能もフル活用できる。
Invokeの国内販売は来年以降に予定とのことである。

Essential Home  Alexa、Google Assistant、Cortana対応
Essential Homeは米国ベンチャー企業Essential Products社が開発中である。Androidの後継を自称するAmbient OSを搭載することで、3社のAIアシスタント(Alexa、Google Assistant、Cortana)を使うことができる。多くの機能を端末内(AIスピーカ)で処理し、記憶することで他のAIスピーカの課題となっているプライバシー問題をクリアするとしている。
今年中に発売予定である。
Essential Products社と創業者Androidの父Andy Rubin氏に関しては文末で紹介する。

Microsoft AIスピーカ機能をWindowsパソコンに内蔵
MicrosoftはAmazon EchoシリーズやGoogle HomeのようなAIスピーカとは直接競合する製品ではなく、Windows 10アップグレードでAIスピーカー機能をインストールし、AIアシスタントCortanaとAlexaとやり取りし、コンシューマAI市場を確保する方針との観測がある。目指すはホームゲートウェイなのかもしれない。 
AIスピーカー周回遅れのMicrosoftは主力のWindowsが衰退傾向を回復強化する意味でも、AIスピーカ機能(Home Hub機能)をWindow 10に組込むことで用途の拡大をもくろんでいるのであろう。HPやLenovo、Intelなどがハードウェアパートナーで、Skillパートナーも多数そろえているようである。
 Skill開発はMicrosoft Skill Kitである。


参考 Essential Products
EssentialProducts社はGoogleをスピンアウトしたAndroid開発者Andy Rubin氏が2014年に設立した会社である。同社はこの5月にEssential PH-1 (Android OS搭載)というスマホを$699-発売した。PH-1は最高級腕時計のように最高級スマホを意識して開発され、傷のつかないチタンケース採用、スマートなデザインや使い心地の良さを念頭に設計したと言っている。ウェブニュースGigazineの記事に詳しい。

またWIREDの記事にAndy Rubin氏の紹介やPH-1の開発思想などが詳しく紹介されている。
Essential Homeに搭載されているAmbient OSは上記のようにAndroid後継OSを目指しているようであるが、その情報はまだ少ない。Ambient OSは家庭内の全てのデジタル機器を制御し、Alexa、Siri、Google Assistantとやり取りすることで、AIスピーカーの機能を幅広く活用することを目指しているのであろう。Ambient OSで最も注目されるのは、Androidがそうであるようにオープンソースを想定していることである。

沸騰している中国市場動向、かなり立ち遅れ状態の日本市場については別ページで述べたい。



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